近年、50代・60代の「熟年離婚」が増加しています。長年連れ添った夫婦が定年を迎えた後、あるいは子育てが終わったタイミングで離婚を決断するケースが増えているのです。
本記事では、熟年離婚が増加している背景や主な理由、離婚後の生活に関するポイントを詳しく解説します。
1. 熟年離婚が増えている背景
50代・60代で離婚を決断する人が増えている背景には、社会的な変化や価値観の変化があります。
① 平均寿命の延び
- 人生100年時代とも言われるようになり、60代以降の人生設計を見直す人が増えた
- 「残りの人生を自分らしく生きたい」と考える人が増加
② 女性の経済的自立
- 女性の社会進出が進み、経済的に自立できるようになった
- 専業主婦だった人も、年金や財産分与を活用して離婚を決断するケースが増えた
③ 離婚に対する意識の変化
- 「離婚は恥ずかしいもの」という考えが薄れ、選択肢の一つとして受け入れられるようになった
- 周囲にも熟年離婚を経験した人がいるため、抵抗感が減少
④ 夫婦の価値観の違いが浮き彫りに
- 子育てが終わり、夫婦二人の生活になることで価値観の違いが明確になる
- 定年後の時間をどう過ごすかで意見が合わない
2. 熟年離婚が増える主な理由
熟年離婚の理由には、さまざまな要因がありますが、特に以下のようなケースが多く見られます。
① 夫婦関係の長年の不満が爆発
- 長年我慢してきた不満(家事の負担・夫の態度)が限界に達する
- 子どもが独立し、夫婦だけの時間が増えることで、不満が顕在化
② 夫の定年後の生活がストレス
- 定年退職後、夫がずっと家にいることで妻のストレスが増大
- 「夫源病」(夫が原因でストレスを感じ、体調を崩す現象)が問題になることも
③ 介護への不安
- 将来、夫の介護をすることに不安を感じる
- 「夫の面倒を一生見るのは嫌だ」と考え、元気なうちに離婚を決断
④ 熟年不倫・セカンドライフの問題
- 夫が定年後に不倫を発覚させるケース
- どちらかが新しい人生を求めて離婚を決意
⑤ 価値観の違いの顕在化
- 定年後の過ごし方に関する意見の相違(旅行や趣味、生活スタイル)
- 妻が新しい趣味や交友関係を楽しむのに対し、夫が家で何もしない
3. 熟年離婚後の生活はどうなる?
熟年離婚を決断する前に、離婚後の生活設計をしっかり考えることが大切です。
① 財産分与・年金分割
- 婚姻期間中に築いた財産は基本的に2分の1ずつ分ける
- 厚生年金の「年金分割制度」により、妻も年金を受け取れる
② 住まいの確保
- 離婚後に住む場所を確保する必要がある
- 賃貸住宅への引っ越しや、持ち家の処分を検討
③ 再就職・経済的自立
- パートやアルバイトで収入を得る人も
- 公的支援(年金・生活保護)を活用するケースもある
④ 孤独との向き合い方
- 離婚後、友人や家族とのつながりを大切にする
- 地域のコミュニティ活動に参加する
4. 熟年離婚を決断する前に考えるべきこと
離婚後の生活に後悔しないために、以下の点を確認しましょう。
① 経済的にやっていけるか
- 離婚後の生活費をシミュレーション
- 年金・貯金・収入源を確保する
② 親族・子どもの理解
- 子どもに離婚の意思を伝え、理解を得る
- 孫との関係をどう維持するか考える
③ 再婚や新しい人生について
- 再婚を考えるか、それとも一人で自由に生きるか
- 新しい趣味や友人を作り、充実した生活を送る
まとめ
50代・60代の熟年離婚は、価値観の変化・長年の不満・経済的自立などの理由で増加しています。
離婚後の生活を考え、経済面・住まい・人間関係をしっかり準備することが重要です。
新しい人生を前向きに歩むために、慎重に決断しましょう。