離婚を考え始めたとき、多くの人は感情や人間関係に意識が向きがちです。しかし現実には、お金・書類・住居といった生活の土台をどれだけ事前に整えられているかで、離婚後の安定度は大きく変わります。
準備不足のまま離婚を進めると、「思った以上にお金が足りない」「必要な書類が手元にない」「住む場所が決まらず不安定になる」といった問題が一気に表面化します。この記事では、離婚前に必ず確認しておきたい準備事項を、実務的な視点から整理して解説します。
1. お金に関する準備リスト
離婚後の生活で最も影響が大きいのが金銭面です。感情的な判断を避け、数字で現実を把握することが重要です。
1-1. 現在の収入と支出を整理する
まずは自分個人の収入と、世帯としての支出を明確にしましょう。離婚後は世帯収入が減るケースが多く、生活水準の見直しが不可欠です。
- 毎月の手取り収入
- 固定費(家賃、通信費、保険料など)
- 変動費(食費、日用品、交際費など)
離婚後に一人で生活した場合の予算を、現実的な金額で試算しておくことが大切です。
1-2. 貯金・資産・負債の把握
預貯金、保険、投資、ローン、クレジットカード残高など、すべてを書き出します。共有財産と個人財産の区別も、この段階で整理しておくと後の話し合いがスムーズになります。
- 銀行口座の残高
- 保険の解約返戻金
- 住宅ローン・車のローン
- クレジットカードの未払い
1-3. 当面の生活費を確保する
離婚直後は想定外の出費が重なりやすく、精神的にも余裕がなくなります。最低でも生活費3〜6か月分を目安に、自由に使えるお金を確保しておくと安心です。
2. 書類に関する準備リスト
離婚手続きやその後の生活では、多くの公的・私的書類が必要になります。事前にコピーを取る、保管場所を把握するなどの準備が重要です。
2-1. 身分・戸籍関係の書類
- 戸籍謄本・戸籍抄本
- 住民票
- マイナンバーカード・通知カード
- 運転免許証・パスポート
これらは離婚届提出後や、各種名義変更の際に必要になります。
2-2. お金に関する書類
- 源泉徴収票・確定申告書
- 給与明細
- 銀行通帳・キャッシュカード
- 保険証券
財産分与や養育費の話し合いにおいて、客観的な資料として役立ちます。
2-3. 子どもに関する書類(該当する場合)
- 母子手帳
- 健康保険証
- 学校・保育園関連書類
親権や手続き変更の際に必要となるため、事前にまとめておきましょう。
3. 住居に関する準備リスト
離婚後に「どこで、どのように暮らすか」は生活の安定に直結します。勢いで決めず、選択肢を複数考えておくことが重要です。
3-1. 今の住居に住み続けるか、出るか
持ち家か賃貸かによって選択肢は変わります。家賃や住宅ローンの負担、通勤・通学、子どもの環境などを総合的に考慮しましょう。
3-2. 新しい住居の候補を考える
- 実家に戻る
- 賃貸住宅を借りる
- 公営住宅を検討する
初期費用や引っ越し費用も含め、現実的な選択肢を比較しておくことが大切です。
3-3. 住所変更に伴う影響を整理する
住居が変わると、勤務先、学校、行政手続きなど、さまざまな変更が発生します。事前に必要な手続きを把握しておくことで、混乱を最小限に抑えられます。
4. 準備は「自分を守る行為」
離婚前の準備は、相手と争うためのものではありません。離婚後の自分と生活を守るための現実的な行動です。
感情が揺れ動く時期だからこそ、チェックリストという形で一つずつ確認し、足元を固めていくことが大きな安心につながります。
5. まとめ
離婚前に準備すべきことは多くありますが、特に重要なのはお金・書類・住居の三点です。
- お金は「現状把握」と「当面の生活費確保」
- 書類は「手元に揃えて管理する」
- 住居は「複数の選択肢を冷静に検討する」
これらを事前に整えておくことで、離婚後の不安は大きく軽減されます。焦らず、しかし確実に準備を進めることが、次の生活への第一歩となります。
