離婚を考えているものの、夫婦の話し合いでは解決が難しい場合に利用されるのが「離婚調停」です。調停委員が間に入り、公平な立場で話し合いを進めることで、離婚の条件を決める手続きです。
本記事では、離婚調停の基本知識、手続きの流れ、必要な準備、スムーズに進めるためのポイントを詳しく解説します。
1. 離婚調停とは?
離婚調停(正式名称:夫婦関係調整調停)は、家庭裁判所で行われる法的な離婚の話し合いの場です。
① 離婚調停を利用するケース
- 夫婦間の話し合いでは離婚条件がまとまらない
- 一方が離婚に同意していない
- 財産分与・養育費・親権などで対立している
- 配偶者と直接話すことが困難(DV・モラハラなど)
② 調停の特徴
- 家庭裁判所の調停委員(男女2名)が間に入り、中立の立場で話し合いを進める
- 基本的に夫婦が直接顔を合わせずに進行する
- 裁判よりも費用が少なく、手続きが簡単
2. 離婚調停の手続きの流れ
離婚調停は、以下のような流れで進みます。
① 調停の申し立て
- 申し立ては相手の住所地の家庭裁判所で行う
- 必要書類を用意し、調停申立書を提出
- 申し立て費用(1,200円)と郵便切手代を納付
② 調停期日の通知
- 申し立てから約1か月後に、調停の日程が決まる
- 家庭裁判所から申立人・相手方双方に通知が届く
③ 調停の進行
- 調停は1~2か月に1回のペースで行われる
- 1回の調停時間は約1~2時間
- 調停委員がそれぞれの意見を聞き、合意点を探る
④ 調停成立または不成立
- 話し合いがまとまれば調停成立(調停調書が作成され、法的拘束力が生じる)
- 合意に至らない場合、調停は不成立となる
- 不成立の場合、離婚裁判へ進むことも可能
3. 調停を申し立てる際の準備すべきこと
調停をスムーズに進めるためには、事前の準備が重要です。
① 申し立てに必要な書類
- 離婚調停申立書(家庭裁判所のHPでダウンロード可)
- 夫婦の戸籍謄本(3か月以内に取得)
- 収入証明書(養育費・財産分与の話し合いがある場合)
- 財産に関する資料(預貯金通帳・不動産登記簿など)
② 自分の主張を整理する
- 「なぜ離婚したいのか?」を明確にする
- 親権・養育費・財産分与などの希望条件を整理する
- 配偶者のDVや不倫が原因の場合は証拠(LINE・メール・診断書など)を用意
③ 弁護士への相談も検討
- 調停は本人だけで進めることも可能だが、専門家のサポートがあると有利
- 離婚問題に強い弁護士に相談し、戦略を立てる
4. 調停をスムーズに進めるためのポイント
① 冷静に対応する
- 感情的にならず、落ち着いて話す
- 相手への攻撃ではなく、「自分がどうしたいか」に焦点を当てる
② 必要な証拠や資料を整理する
- 口頭の主張だけでなく、客観的な証拠を用意する
- 調停委員に理解しやすいよう、簡潔に伝える
③ 調停委員の意見を尊重する
- 調停委員は中立の立場で判断するため、冷静に対応する
- 自分の主張だけでなく、相手の意見も考慮する
④ 長期戦になることを覚悟する
- 調停は1回で終わることは少なく、数回かかることが一般的
- 焦らず、落ち着いて交渉を進める
まとめ
離婚調停は、夫婦の対話では解決できない問題を公平に話し合う場として機能します。正しい知識を持ち、事前にしっかりと準備することがスムーズな解決につながります。
調停を申し立てる際は、必要な書類や証拠を整え、冷静に対応することが大切です。また、状況によっては弁護士のサポートを活用することで、より良い結果を得られる可能性が高まります。
離婚を前向きな人生のスタートと捉え、自分の望む未来に向かって行動しましょう。