モラハラ・DVによる離婚:被害者が知るべきこと

モラハラ(モラルハラスメント)やDV(ドメスティックバイオレンス)は、被害者に深刻な精神的・身体的ダメージを与えます。夫婦関係を続けることが困難になり、離婚を考える人も多いですが、離婚を決断する際には慎重な準備と適切な手続きが必要です。本記事では、モラハラ・DVによる離婚を考えている被害者が知るべき情報を詳しく解説します。

1. モラハラ・DVとは?

① モラハラ(モラルハラスメント)とは

モラハラとは、言葉や態度によって精神的に相手を追い詰める行為のことを指します。以下のような行動が当てはまります。

  • 暴言や人格否定(「お前は無能だ」「誰もお前を必要としていない」など)
  • 無視・無関心・意図的な冷遇
  • 過度な束縛や支配(交友関係の制限、スマホのチェックなど)
  • 過剰な要求(家事や育児の押し付け、過度な服従要求)

② DV(ドメスティックバイオレンス)とは

DVは、配偶者やパートナーから受ける身体的・精神的・経済的な暴力を指します。主な種類は以下の通りです。

  • 身体的暴力(殴る、蹴る、突き飛ばすなど)
  • 精神的暴力(脅迫、侮辱、無視)
  • 性的暴力(無理やりの性的行為)
  • 経済的DV(生活費を渡さない、仕事をさせない)
  • 社会的隔離(家族や友人との交流を制限する)

2. モラハラ・DVを理由に離婚はできるのか?

日本の民法770条では、裁判で離婚が認められる「法定離婚事由」が定められています。モラハラやDVは以下の事由に該当するため、裁判離婚が認められる可能性が高いです。

  • 「婚姻を継続しがたい重大な理由」
  • 「悪意の遺棄」(DVによる家出・生活費を渡さないなど)

証拠があれば、離婚調停や裁判で離婚を成立させることが可能です。

3. 証拠の集め方

離婚を有利に進めるためには、モラハラ・DVの証拠を集めることが重要です。

① 録音・録画

相手の暴言や脅迫的な言葉を録音・録画しておきましょう。

  • スマホやICレコーダーを使用して会話を記録
  • 暴力の証拠が残る動画を撮影

② 診断書

DVの被害を受けた場合、病院で診断書をもらうことが重要です。

  • 怪我がある場合はすぐに医師に診察してもらう
  • 精神的なダメージがある場合も心療内科で診断書を取得

③ メール・LINE・SNSの履歴

モラハラやDVの証拠が残るメッセージをスクリーンショットで保存しましょう。

④ 第三者の証言

家族・友人・職場の同僚など、DVやモラハラの実態を知っている人に証言をお願いすることも有効です。

4. 離婚の進め方

DVやモラハラが原因で離婚を考える場合、以下のステップで進めましょう。

① 安全確保

DV被害を受けている場合は、まず安全を確保しましょう。

  • 警察に相談(110番通報)
  • 配偶者暴力相談支援センターへ連絡
  • シェルターや親族宅への避難

② 離婚調停の申し立て

モラハラやDVがある場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

  • 証拠を提出し、離婚の必要性を主張
  • 調停委員を介して相手と話し合い

③ 裁判離婚(調停が不成立の場合)

調停で合意できない場合、裁判で離婚を争うことになります。

  • 証拠をもとに「婚姻を継続しがたい重大な理由」を証明
  • 弁護士に依頼し、法的手続きを進める

5. 被害者が利用できる支援制度

モラハラ・DV被害者のための支援制度を活用しましょう。

① 配偶者暴力相談支援センター

  • 一時的な避難先の提供
  • 法的支援やカウンセリング

② 警察の「DV防止法」に基づく対応

  • 接近禁止命令
  • 退去命令

③ 法テラス(日本司法支援センター)

  • 無料法律相談
  • 弁護士費用の立替制度

まとめ

モラハラ・DVによる離婚は、被害者の安全を最優先に進めることが大切です。証拠を集め、支援制度を活用しながら、適切な手続きを踏んで離婚を進めましょう。離婚後の生活を安心して送るためにも、弁護士や支援機関に相談することをおすすめします。

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