夫婦の関係がうまくいかず、「性格の不一致」を理由に離婚を考える人は少なくありません。しかし、日本の法律では、単に「性格が合わない」というだけでは、裁判で離婚が認められないことがあります。本記事では、性格の不一致を理由に離婚が可能かどうか、裁判で認められるケースを詳しく解説します。
1. 性格の不一致で離婚は可能か?
日本の離婚には3つの方法があります。
- 協議離婚(夫婦の合意があれば成立)
- 調停離婚(家庭裁判所での調停を経て成立)
- 裁判離婚(裁判所の判断が必要)
協議離婚や調停離婚では、双方が合意すれば「性格の不一致」でも離婚は可能です。しかし、裁判で一方が拒否する場合は、性格の不一致だけでは離婚が認められにくいのが現状です。
2. 裁判で離婚が認められる法定離婚事由
日本の民法770条では、裁判で離婚が認められる「法定離婚事由」が定められています。以下のいずれかに該当する場合、裁判所は離婚を認める可能性が高くなります。
- 配偶者に不貞行為(浮気・不倫)があった
- 配偶者から悪意の遺棄(生活費を渡さない、家を出て戻らないなど)を受けた
- 配偶者が3年以上生死不明である
- 配偶者が回復の見込みがない精神病になった
- その他婚姻を継続しがたい重大な理由がある
この中で、「性格の不一致」は「婚姻を継続しがたい重大な理由」に該当するかどうかがポイントになります。
3. 性格の不一致が裁判で離婚理由として認められるケース
裁判で離婚を認めてもらうためには、「性格の不一致」だけでなく、以下のような状況が証明できると有利になります。
① 長期間の別居が続いている
夫婦関係が破綻していることを示す長期間の別居は、裁判で離婚を認めてもらいやすい要素の一つです。
- 別居期間が3年以上続いている
- 婚姻関係が修復不可能である証拠(LINEやメールのやりとりなど)
裁判では、「別居が長期間続いている=婚姻関係の破綻」と判断されやすいため、有力な証拠になります。
② 夫婦間のコミュニケーションが完全に破綻している
日常生活の中で、夫婦間のコミュニケーションがほぼゼロであり、回復の見込みがない場合も離婚が認められることがあります。
- 長年、夫婦の会話がなくなった
- 家庭内別居状態が続いている
- 夫婦のどちらかが相手を無視し続けている
③ モラハラや精神的虐待がある
身体的暴力(DV)だけでなく、精神的な虐待(モラハラ)が継続している場合も離婚理由として認められやすいです。
- 日常的な暴言や人格否定
- 異常な束縛や監視
- 経済的DV(生活費を一切渡さない)
これらの証拠をしっかり残しておくことが重要です。
4. 性格の不一致だけでは離婚が認められにくいケース
以下のような場合、裁判で離婚が認められるのは難しいです。
- 夫婦の関係が比較的良好で、大きな問題がない
- 性格の違いはあるが、お互いに努力すれば関係が修復できると判断される
- 別居しておらず、婚姻関係が続いている状態
このような場合、裁判では離婚が認められにくく、調停や話し合いで解決を目指す必要があります。
5. 性格の不一致で離婚したい場合の対策
① まずは協議離婚を目指す
最もスムーズな離婚方法は、夫婦間で話し合い、協議離婚することです。性格の不一致でも、相手が合意すれば離婚は成立します。
② 調停離婚を申し立てる
話し合いが難しい場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。
③ 裁判で離婚を認めてもらうために証拠を集める
裁判で離婚を成立させるためには、婚姻関係が破綻している証拠が必要です。
- 長期間の別居記録
- コミュニケーションの断絶が分かる証拠
- モラハラや精神的虐待の記録
まとめ
性格の不一致で離婚は可能ですが、裁判では単なる価値観の違いだけでは認められにくいのが現実です。長期間の別居や夫婦関係の破綻を証明することで、離婚を成立させる可能性を高めることができます。離婚を考える際は、まずは協議離婚を試み、難しい場合は調停や裁判を視野に入れましょう。