離婚後の生活を考えるとき、多くの人が不安に感じるのが毎月いくらあれば生活できるのかという点です。婚姻中は世帯収入で成り立っていた家計も、離婚後は基本的に一人分、またはひとり親世帯として再構築する必要があります。
感覚だけで「何とかなる」と考えてしまうと、実際に生活が始まった後で資金不足に陥ることもあります。この記事では、離婚後に必要となる生活費の目安と、現実的な収支計画の立て方を具体的に解説します。
1. 離婚後の生活費を考える基本視点
まず大切なのは、「婚姻中と同じ生活水準は維持できない可能性が高い」という現実を受け入れることです。離婚後の生活費は、収入に合わせて設計し直す必要があります。
生活費を考える際は、以下の2点を軸にします。
- 毎月必ずかかる固定費
- 月によって変動する変動費
2. 離婚後に必要となる主な生活費の内訳
ここでは、離婚後に一般的に発生する生活費を項目ごとに整理します。
2-1. 住居費
生活費の中で最も大きな割合を占めるのが住居費です。
- 家賃または住宅ローン
- 管理費・共益費
- 更新料(賃貸の場合)
目安としては、手取り収入の25〜30%以内に抑えると家計が安定しやすいとされています。
2-2. 食費
一人暮らしの場合は外食の頻度、子どもがいる場合は人数によって大きく差が出ます。
- 一人暮らし:月2〜4万円程度
- 子どもあり:月4〜7万円程度
無理な節約ではなく、継続可能な水準を設定することが重要です。
2-3. 水道光熱費・通信費
- 電気・ガス・水道代
- スマートフォン代
- インターネット回線
これらは固定費になりやすいため、契約内容を見直すだけで支出を抑えられることがあります。
2-4. 教育費・養育関連費(子どもがいる場合)
保育園・学校関連費、給食費、習い事などが該当します。養育費を受け取る場合でも、毎月必ず入るとは限らない前提で計画を立てることが現実的です。
2-5. その他の生活費
- 日用品費
- 医療費
- 被服費
- 交際費
すべてを細かく管理する必要はありませんが、年間で見たときの支出も意識しておきましょう。
3. 離婚後の生活費の目安はいくらか
生活スタイルや地域差はありますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 一人暮らし:月12〜18万円程度
- 子ども1人のひとり親世帯:月18〜25万円程度
ここには貯蓄や突発的な出費は含まれていないため、最低限必要な金額として考えるのがポイントです。
4. 収支計画の立て方ステップ
4-1. 手取り収入を正確に把握する
まずは毎月確実に入ってくる手取り収入を書き出します。残業代やボーナスは含めず、最低ラインの収入で計画を立てるのが基本です。
4-2. 固定費を先に差し引く
家賃、通信費、保険料などの固定費を先に差し引き、残りで生活できるかを確認します。
4-3. 余裕資金と貯蓄を組み込む
毎月少額でも貯蓄を組み込むことで、突発的な出費への耐性が高まります。余裕がない場合でも、まずは「貯める前提」で設計することが大切です。
5. 生活費が足りないと感じたときの考え方
計画上、生活費が足りない場合は、以下の順で見直します。
- 住居費が収入に見合っているか
- 固定費を削減できないか
- 収入を増やす選択肢があるか
我慢だけで乗り切ろうとせず、仕組みそのものを調整する視点が重要です。
6. まとめ
離婚後の生活費は、「なんとなく」ではなく、数字で把握し、現実的に設計することが欠かせません。
- まずは毎月の固定費と変動費を整理する
- 手取り収入を基準に生活水準を決める
- 無理のない範囲で貯蓄も組み込む
収支計画は一度立てて終わりではなく、生活に合わせて見直していくものです。離婚後の新しい生活を安定させるためにも、早い段階で現実的な生活費の把握と計画を行いましょう。
