離婚時の財産分与で問題になりやすいのが、住宅ローンが残っている場合の不動産の扱いです。
夫婦で購入した家は共有財産となりますが、ローンが残っている場合、単純に財産を分けることができません。
そこで、本記事では、住宅ローンが残っている場合の財産分与の方法について詳しく解説します。
1. 住宅ローンが残っている場合の基本ルール
住宅ローンが残っている家は、夫婦で共同名義の場合も、どちらか一方の名義の場合も、財産分与の対象となります。
① 不動産の財産分与の原則
- 住宅ローンが残っていても、財産分与の対象になる
- ローンの負担割合を考慮して分配する必要がある
- ローンの名義人と住宅の所有者をどうするか決める
② 不動産の評価方法
住宅の価値を把握するために、不動産査定を行います。
- 不動産会社の査定を受ける
- ローン残債と比較し、価値があるかを判断
- 市場価格がローン残高を上回るかどうかで方針が変わる
2. 住宅ローンが残っている場合の財産分与の方法
住宅ローンがある場合、以下のいずれかの方法で対処するのが一般的です。
① 家を売却し、ローンを完済する
最もシンプルな方法は、家を売却し、売却代金でローンを完済することです。
- 売却価格がローン残高を上回る場合 → 余剰分を夫婦で分ける
- 売却価格がローン残高を下回る場合 → 不足分の負担を決める
売却価格よりもローン残高が多い場合(オーバーローン)には、売却してもローンが残るため、負担割合を事前に決めることが重要です。
② どちらかが家に住み続け、ローンを引き継ぐ
夫婦のどちらかが家に住み続ける場合、ローンをどうするか決める必要があります。
- 住み続ける側が、もう一方の持分を買い取る(代償金の支払い)
- ローンの名義を変更する(金融機関の承認が必要)
③ 家の名義を変更せず、共有名義のままにする
家を売らずに、夫婦の共有名義のままにする方法もあります。
- 将来的に売却予定がある場合に選択される
- 共有名義のままだと、売却や財産管理の問題が発生することがある
この方法は、ローンの支払いが滞った場合にリスクが高いため、慎重に検討する必要があります。
3. 住宅ローンの名義変更のポイント
家に住み続ける場合、ローンの名義を変更したいと思うかもしれませんが、金融機関の審査が必要になります。
① ローンの名義を変更できる条件
- ローンを引き継ぐ側に十分な収入があること
- 金融機関の審査に通ること
② 名義変更が難しい場合の対策
- 夫婦間で公正証書を作成し、支払いの取り決めを行う
- ローンを借り換え、単独名義で再契約する
ただし、住宅ローンの借り換えは審査が厳しくなるため、注意が必要です。
4. 財産分与の際の注意点
① 財産評価の適正化
不動産の価値を正しく把握するため、複数の不動産会社の査定を受けるのが望ましいです。
② 住宅ローンの支払い義務を明確にする
離婚後にローンの支払い義務が不明確になると、どちらか一方に負担が偏る可能性があります。
- 公正証書を作成し、支払い方法を明確にする
- 金融機関との契約内容を事前に確認する
③ 住宅を売却する際のトラブルを避ける
売却時に以下のようなトラブルが発生しやすいため、注意が必要です。
- 売却価格が思ったより低く、ローン残債が残る
- 売却の合意が得られず、話が進まない
このようなトラブルを避けるために、早めに専門家(弁護士・不動産会社)に相談するのが望ましいです。
まとめ
住宅ローンが残っている場合の財産分与は、売却するのか、住み続けるのかを決めることが最初のステップになります。
主な選択肢は以下の3つです。
- 家を売却してローンを完済する
- どちらかが住み続け、ローンを引き継ぐ
- 共有名義のままにする(リスクあり)
また、ローンの名義変更には金融機関の審査が必要なため、手続きがスムーズに進むかどうかも事前に確認しておくことが重要です。
財産分与に関する問題は、専門的な知識が必要になることが多いため、弁護士や不動産の専門家に相談するのが安心です。
離婚後の生活を安定させるために、慎重に検討し、適切な方法を選択しましょう。