養育費の適正額を決めるために知っておくべきこと

1. 導入:養育費は「感情」ではなく「基準」で決める

離婚に伴い養育費を決める場面では、「できるだけ多くもらいたい」「支払える範囲に抑えたい」といった感情が先行しがちです。しかし、養育費は親同士の感情の問題ではなく、子どもの生活と成長を支えるための費用として決められるものです。

適正額を知らないまま合意してしまうと、将来の生活が苦しくなったり、逆に支払いが継続できずトラブルに発展したりすることがあります。だからこそ、客観的な基準を理解したうえで話し合うことが重要です。

2. 養育費の「適正額」とは何を基準に決まるのか

養育費の金額は、当事者の希望だけで自由に決められるものではありません。実務では、以下の要素を基準に総合的に判断されます。

  • 支払う側・受け取る側それぞれの収入
  • 子どもの人数
  • 子どもの年齢
  • 親の就業状況や生活水準

特に重要なのが収入と子どもの年齢です。年齢が上がるにつれて教育費が増えるため、養育費も高くなる傾向があります。

3. 養育費算定表の基本的な考え方

家庭裁判所の実務では、養育費算定表が広く用いられています。これは、双方の年収と子どもの人数・年齢を基に、標準的な養育費の目安を示したものです。

算定表はあくまで目安ですが、調停や裁判では強い基準として扱われます。そのため、算定表とかけ離れた金額を主張する場合には、合理的な理由や根拠が必要になります。

4. 収入の考え方で注意すべきポイント

養育費を決める際の「収入」は、手取り額ではなく年収ベースで考えられるのが一般的です。

  • 給与所得者は源泉徴収票の支払金額が基準
  • 自営業者は確定申告書の所得金額が基準
  • ボーナスや各種手当も含めて判断される

意図的に収入を低く申告することは評価されにくく、実際の生活実態を踏まえて判断される点に注意が必要です。

5. 養育費を増減できるケースとは

算定表が基準とはいえ、すべてのケースが一律に当てはまるわけではありません。以下のような事情がある場合、養育費が増減されることがあります。

  • 私立学校や特別な教育費がかかる場合
  • 子どもに持病や障害があり医療費が高額な場合
  • 支払う側に再婚や扶養家族がいる場合
  • 失業や収入の大幅な減少があった場合

これらは個別事情として考慮されますが、客観的な資料がなければ認められにくい点も押さえておく必要があります。

6. 合意で決める場合に注意すべきこと

協議離婚では、当事者同士の合意で養育費を決めることができます。しかし、以下の点には注意が必要です。

  • 曖昧な金額設定や支払期間にしない
  • 支払方法(振込日・振込先)を明確にする
  • 将来の変更についての考え方を整理しておく

口約束だけでは、支払いが滞った際に対応が難しくなります。書面として残すことが、将来のトラブル防止につながります。

7. まとめ:養育費は長期視点で「無理のない額」を考える

養育費の適正額を決めるうえで最も重要なのは、感情に流されず、基準と現実の両方を踏まえて判断することです。高すぎる金額は支払いが続かず、低すぎる金額は子どもの生活を圧迫します。

算定表を基準にしつつ、個別事情を整理し、長期的に継続可能な金額を設定することが、子どもの安定した生活につながります。養育費は一度決めたら終わりではなく、状況に応じて見直すこともできる制度であることを理解したうえで、慎重に決めていきましょう。

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